明治安田生命保険相互会社では、2022年10月にMiletosの経費精算AI「SAPPHIRE(サファイア)」を導入し、管理職による経費精算の承認業務を原則廃止するという大きな業務改革に着手しました。
導入から2年が経過した現在では、SAPPHIREの事後モニタリングを前提にかつて管理職が担っていた承認業務を原則廃止し、年間約63,000件・5,300時間超の業務工数が削減されています。加えて、AIによるチェック精度の高さが評価され、統制面の強化にもつながっています。
この“管理職による承認のない経費精算”という大胆な変革について、導入から2年が経過した現在の運用状況とその効果、さらに今後の展望までを、明治安田生命の桑原様に詳しく伺いました。

桑原 裕人 様

明治安田生命保険相互会社
収益管理部(経理担当) 
事業費・資金管理グループ
グループマネジャー

桑原 裕人 様

髙橋 康文

Miletos株式会社
代表取締役社長 兼 CEO

髙橋 康文

狙い
  • 経費精算プロセスの効率化と経費統制の維持・強化を実現したい
効果
  • “承認しないことが当たり前”という新たな業務文化の定着
  • 「チェックされている」という意識が従業員に浸透
  • 属人性を排した、再現性のあるチェック体制の確立

導入から2年、承認廃止による業務改革と統制精度の向上を実感

髙橋

本格導入後の運用状況はいかがでしょうか?

桑原様

今では、“管理職が承認する”という運用はほぼ完全に廃止されました。むしろ、管理職が一件ずつ承認していたこと自体を忘れている人もいるくらいです。
これは単に効率化できたというだけでなく、「働き方」の質を変えることができた証だと感じています。承認業務から解放されたことで、管理職は部下との1on1やチームビルディング、戦略策定といったより本質的な業務に集中できるようになりました。
また、「承認がなくなった分、統制が緩んでしまうのでは」という当初の懸念も、SAPPHIREの運用を通じて払拭されました。むしろ、AIによるチェックによって精度は高まっていると感じています。

髙橋

どんな部分でそう感じられましたか?。

桑原様

人の目ではつい見落としがちな内容も、機械は確実にチェックしてくれます。特に、二重精算のリスク検知に関しては明確に成果がありました。人では判断が分かれるような微妙なケースでも、SAPPHIREは一定のロジックで的確に拾い上げてくれる。そういった積み重ねが、運用面での信頼感にもつながっており、現場でも安心して任せられるツールとして定着しています。

AIと人の連携で生まれた運用効率と安心感

髙橋

AIの検知後、どのように人の業務と連携しているのでしょうか?

桑原様

SAPPHIREで二重精算などのリスクが検知された場合、私たちのチームのスタッフが対象の申請者に対して確認メールを送るようにしています。この確認メールの送信についても自動化できるようMiletosさんに支援していただきました。
確認メールに対する申請者からの返信をもとに、スタッフが内容をチェックし、必要に応じて修正や差し戻しを行っています。この一連の流れが確立されたことで、AIと人がそれぞれの強みを発揮できる仕組みができました。

髙橋

こうした運用が続く中で、従業員の意識や行動にも変化は見られましたか?

桑原様

従業員側にも「しっかりチェックされている」という意識が徐々に浸透し、経費の使い方に対する自覚も高まってきています。経費精算が単なる申請作業ではなく、会社全体で正しく使うべきものだという認識が広がりつつあり、プロセスの定着とともに行動変容にもつながっていると感じます。

検知傾向の分析と未然防止への取り組みへ

髙橋

今後の取り組みとして、どのような展望をお持ちですか?

桑原様

現在はリスクが検知された申請に対する対応が中心ですが、今後はその検知傾向を活用して、予防的な取り組みを進めていきたいと考えています。
たとえば、所属や時期によってどういったリスクが多く発生しているのかを分析し、あらかじめ注意喚起を行ったり、申請ルールを再設計したりすることで、そもそも問題が起きない仕組みをつくりたいと考えています。
また、検知データをAIにフィードバックすることで、より高精度な判定ができるようになると期待しています。

プロセス改革を支えた専門性と伴走支援への信頼

桑原様

今回の取り組みが成功したのは、Miletosさんのご支援があってこそです。AIに関する深い知見と、経理領域に対する豊富な経験を活かし、私たちの課題を的確に捉えながら、プロセス全体の改革を丁寧に伴走していただきました。
また、スタートアップ企業ならではのスピード感や柔軟な対応力も非常にありがたかったです。導入だけでなく、その後の運用支援や改善提案まで継続して対応いただき、心から感謝しています。

髙橋

ありがとうございます。今後も、明治安田生命様のモダンプロセスの実現を通して、業務効率化や統制強化に貢献できるよう尽力してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。